先に結論
- 中元節は旧暦7月15日の行事。台湾では旧暦7月=鬼月(ゴースト・マンス)とされ、月全体で“あの世の門が開く”と考えます。1日目に鬼門開、15日に中元普度(大きな供養)、月末に門が閉まるという流れが基本です。
どんな日?なにをする?
- 目的:さまよえる霊やご先祖(台湾では婉曲に好兄弟=良い兄弟と呼ぶ)に食べ物や紙のお金を捧げて慰めること。仏教の盂蘭盆(うらぼん)、道教の中元が重なった行事です。
- メインイベント(中元普度):寺院・会社・商店街・家庭の前に供物のテーブルを並べ、線香を手向け、**紙銭(紙の冥銭)**を焚いて送り届けます。
- いつ?:旧暦7月15日がピーク。新暦では毎年ずれます(だいたい8〜9月ごろ)

1か月の流れ(ざっくり)
- 旧暦7/1:鬼門開(門が開く)
- 旧暦7/15:中元節・普度(いちばん大きな供養)
- 旧暦7月下旬:閉門(門が閉じる)
※地域によって細かな日取りや呼び名が変わります。基隆(キールン)の「中元祭」は1か月続く全国最大級の行事で、水灯流しや行列が有名。
どんな“光景”が見られる?
- 家や店先にお供え台(お菓子・果物・缶詰・インスタント麺など)。
- 夜、紙銭を焚く炉の前に人だかり。
- 寺社や会社単位の大規模な供養テント。
- 基隆では水灯流し・提灯パレードなど絵になるイベントも。
鬼月の“やらないほうがいいこと”(タブー入門)
迷信と割り切る人もいますが、現地ではかなり意識される項目です。旅行者も一応覚えておくと平和。
- 夜の海や川で泳がない(水の霊に“引かれる”とされる)。
- 家の引っ越し・結婚・新規開業は避ける(どうしてもやる場合は日中・吉時に)。
- 線香・供物・紙銭をまたがない/踏まない。
- 夜の口笛・暗所での写真・赤い封筒の拾得は避けると言われます。
とはいえ、守る強度は人それぞれ。ビジネスは普通に回り、若い世代は“最低限のマナーだけ”ということも多いです。

旅行者・在住者向け:やさしい参加の仕方
- 町内や会社の普度台で、果物やお菓子を1品そっと添える。
- 焚き火のような紙銭炉に手を合わせ、一礼して通る。
- 寺院の行事は見学OKが多いので、係の人の指示に従う。
- 写真は人や供物の正面から近距離で撮らないのが礼儀。
よくある質問(30秒でわかる)
Q. お供えは食べてもいいの?
A. 供養が終わったら分け合ってOKの場もあります。まずは主催者に確認を。
Q. 何を供えれば間違いない?
A. 果物・ビスケット・飲料など日持ちするものが無難。アルコールもあり。
Q. 服装は?
A. 普段着でOK。線香や灰で汚れてもいい服だと安心。
まとめ
中元節は、台湾の人たちが見えない誰かも“家族”とみなして労わる日。
町の至るところに供物と灯りが並び、1か月かけて**“あちら”と“こちら”の距離が近づく**——そんな季節です。
旅行者はそっと一礼して空気を味わうだけでも十分。もし果物をひとつ置けたら、あなたも立派な“台湾の夏の参加者”です。