台北で暮らし始めた頃、交差点の角で必ず見るのが、並んだ二本のポストでした。左が緑、右が赤。最初は「デザイン違い?」と思ったのですが、実はちゃんと役割が違います。ここを押さえておくと、台湾の街が少し読みやすくなります。
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■ 結論:緑は“ふつうの手紙”、赤は“急ぎや特別扱い”
・緑のポスト…普通郵便(平信)。同じ箱でも投函口が「本地(同じ都市向け)」と「外埠(他地域向け)」に分かれているタイプが多いです。
・赤のポスト…限時(速達)や航空など、より早い流れに乗せたい郵便。色でパッと識別できるようになっています。
旅行中に日本へ送るなら、窓口で国際郵便の種別(航空・書留・EMSなど)を相談するのが確実。どうしてもポスト投函なら、赤に入れておくと処理の流れに乗りやすい、という感覚で覚えておくと安心です。

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■ なぜ色分け?(現場目線の事情)
台湾は雨が多く、街の回転も速い国。毎日大量の郵便が動くので、回収の段階から「普通の流れ」と「急ぎの流れ」を分けておくと、仕分け・輸送がスムーズです。緑=通常、赤=急ぎ。信号機のように直感で分かる色にしているのは、郵便の世界でも理にかなっています。
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■ ざっくり年表:台湾の郵便の歩み
・清朝末期(19世紀末)
台湾でも近代的な郵便制度が生まれ、台北に郵政の中枢が置かれます。
・日本統治時代(1895〜1945)
郵便網が本格的に整備され、主要都市に堂々とした郵便局舎が建ちました。台北の中心部(北門一帯)に残る古い郵便局は、この時代の記憶を今も留めています。
・戦後〜現在
台湾全域のネットワークとして再編され、現在の郵便会社(中華郵政)が全国をカバー。社名表記の変更が話題になった時期もありましたが、郵便の“緑のイメージカラー”は今も健在です。
要するに、清の時代に芽が出て、日本時代に幹が太り、戦後に全島ネットワークとして育った——そんな順序で覚えておけば、だいたい迷いません。
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■ 街角トリビア(話のタネに)
・緑と赤が“二本でペア”になっている場所が多いですが、投函口だけが二色に分かれた一体型のポストもあります。
・数年前、台北の通りで台風の風にあおられて二本とも少し“くの字”に傾いた緑・赤ポストが話題になり、今も記念撮影スポットになっています。名前まで付けられて、地域の小さな名所になりました。

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■ 新生活・旅行者向けミニ実用
・連休や休日は、普通(緑)の回収が止まることがあります。急ぎは赤の投函口か、主要郵便局の窓口へ。
・封筒に宛名を書く向きや切手の貼り方は日本とほぼ同じ。差出人(差し戻し先)は必ず明記すると安心です。
・国際便は、内容物申告が必要なことがあります。カウンターで「日本へ送りたい」と言えば、必要な用紙やラベルを出してくれます。
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■ まとめ
台湾のポストが緑と赤なのは、見た目の遊び心ではなく、現場のスピードを上げるための合図です。緑=普通、赤=急ぎ。色を見分けられるようになると、街の時間の流れまで少し読めるようになります。今度通りがかりに見つけたら、どっちの投函口に列ができているか、ちょっと観察してみてください。台湾の毎日が、少しだけ立体的に見えてきます。